寒い冬には手元があたたまる使い捨てカイロが便利ですね。
女性も腰や肩に使い捨てカイロを貼って、体をあたためますよね。
使い捨てカイロは本当にありがたいです。

ところで使い終わったカイロはどうしていますか?

ほとんどの人はゴミ箱に捨てているんじゃないでしょうか?

じつは私もそうです。

殆どの自治体が使い捨てカイロを可燃物(燃えるゴミ)として捨てるよう指定していますものね。
(東京23区、名古屋市、福岡市などは燃えないゴミに指定されているようです。)

でも最近友人から「使い捨てカイロを再利用しているよ。」という話を聞いて、使い捨てカイロにどんな再利用方法があるのか気になって調べてみました。

使い捨てカイロって園芸用の肥料とか脱臭・乾燥剤としても再利用ができるようなので、その活用法を紹介します。

カイロ中身


 


使い捨てカイロの再利用法!優秀な園芸肥料に変身

使い捨てカイロには鉄分、バーミキュライト、活性炭などの農業に適した成分がたくさん含まれています。

これは、使い捨てカイロの成分の割合の表です。
会社名は伏せてありますが、成分は大差ない気がします。
塩分さえ除けば立派な園芸肥料ですね。

カイロの成分

 

使い捨てカイロの主成分は鉄粉です。全体の60~65%を占めています。
畑にまいたり、プランターの土に混ぜたりすると土に鉄分が増え、優秀な園芸肥料になります。

鉄分は植物にとって必須元素(必要な栄養素)です。

植物の光合成に必要なクロロフィルの合成には鉄分が必要だからです。
鉄欠乏になると写真のように葉などが黄色くなるそうです。ひどい場合は植物が枯れてしまうそうですよ。

鉄欠乏の金柑の木

 

使い捨てカイロには10%以下ですがバーミキュライト(ヒル石)も含まれています。

バーミキュライトは園芸品店でも売られている鉱物です。

 

肥料ではありませんが、土壌改良材として使われます。
保水性や保肥性に優れており、根に空気がよく吸収されて成長を促進してくれます。

使い捨てカイロの中に含まれている炭素は活性炭と言います。
活性炭は小さな孔(あな)がたくさん開いた多孔性の炭素のことです。
活性炭は土の汚れを吸着してくれるので土壌改良をするときによく使われます。

使い捨てカイロには塩分も含まれています。
肥料にするときはそのまま畑にまくと塩害の恐れもあるので、塩分を取ってから使うといいようです。

コーヒーフィルターを2~3枚重ね、その中に使い捨てカイロを入れて

コーヒーフィルターの中カイロ

 

水で塩分を洗い流せば大丈夫だそうです。

カイロの濾過

 

塩分の入っていない使い捨てカイロはそのまま土と混ぜても大丈夫です。
袋に「使用後の中身は土壌改良材として使用できます。」「土に還せる」
などの表示が入っているものはそのまま使えますよ。

土に還せるエコポッカカイロ

 

脱臭剤としての活用法!

使い捨てカイロに含まれている活性炭の孔(あな)はニオイ成分を吸着してくれます。
炭素の表面に空いている無数の孔が臭いの粒子を吸着するので消臭剤としての役目も果たしてくれます。

孔のサイズとが臭い粒子のサイズと合うと吸着しやすくなるそうです。

写真は炭素の孔です。
すごい数の孔ですから、消臭パワーもありますよね。
炭素の孔

 

活性炭は全体の10%しか含まれていないため、脱臭剤として使用するときは靴箱に置いて全体を脱臭するよりも直接靴の中に入れて脱臭したほうが効果を感じると思います。
靴にカイロ

 

乾燥剤としての再利用法

使い捨てカイロに含まれているバーミキュライトには保水性があります。
水分を吸収するので乾燥剤としての役目も果たしてくれますよ。
また活性炭にも除湿効果があります。

濡れた靴などの中に一日ほど入れてもいいし

靴

 

使い捨てカイロをクローゼットの中にためておくのもいいと思います。無料の乾燥剤ですね。

クローゼット

 

酸素を吸収するので脱酸素剤にもなる

脱酸素剤とは、酸素を吸収して、カビ、害虫、油脂の変質などを防止する役割をはたすものです。
食品包装や衣類関係で広く利用されています。

使い捨てカイロは鉄が酸化する時に空気中の酸素を吸収します。
これは白米などを品質を保持して保存したい時にとても効果的ですよ。

衣類圧縮袋などの真空にできる袋に白米を入れて空気を抜きます。
その中に使い捨てカイロを入れます。
圧縮袋に米とカイロ

 

中の酸素が消費されて無酸素状態になります。この白米を冷暗所で保存すると、そのまま放置の白米より美味しい状態で保存できますよ。

同様に衣類なども使い捨てカイロと一緒に圧縮袋に入れて保存します。

圧縮袋に衣類とカイロ
 

ただしこれは完全に使い切ったものでは効果はありません。
まだ暖かさがあるものが良いそうです。

使うときはほぼ空気を抜いて使用してください。
密封状態でないと脱酸素剤は効果がないようです。
僅かに残った酸素もカイロが吸収してくれます。
未使用の使い捨てカイロなら、大きな布団のダニ退治もできるそうですよ。

使い捨てカイロのその他の活用の方法

使用済みの使い捨てカイロを湯船に浮かべるだけで水質が向上します。
これは炭風呂の効果と同じで活性炭が塩素や汚れを吸着してくれるからです。
それだけでなく、炭から出るミネラル分が弱アルカリ性のお湯にしてくれるのです。
活性炭には遠赤外線の効果もあるそうですよ。
使い捨てカイロは不織布で覆われているのでお風呂に細かい粉や灰が落ちることもないので便利ですね。

使用済みカイロを水質浄化実験に使っている団体もあるようです。

写真は 使用済みの使い捨てカイロを袋のまま佐賀市の嘉瀬川に投入する実験です。
使用済みの使い捨てカイロを水中に沈めると電位差が生じ鉄イオンが溶け出すそうです。
鉄イオンのお陰でリンを無害化し、水中の生物が増えるそうです。

使用済みのカイロの中身を取り出して海に流すと、カイロの鉄分がイオンとなって植物プランクトンの育成を促進するそうです。
この活動は有明の干潟を始めとして、気仙沼市や宇部市でも行われているそうですよ。

佐賀市役所などで始まった使用済みカイロの回収BOXです。

 

使い捨てカイロの中身を利用して作った「鉄炭団子(てったんだんご)」を海に流すと鉄分が豊富な海になりプランクトンが増えるそうです。

鉄団子を作る市民

 

鉄炭団子です。

 

実験の結果、海藻が増え海岸に生き物が戻ってきたそうです。
使い捨てカイロが海の浄化に一役買っているなんてすてきな活用の方法ですよね。

寒い冬には大活躍の使い捨てカイロですが、役目を終えても再利用法があるんですね。
使い捨てカイロを使ったら、すぐには捨てずにクローゼットにでもためておくと良いかもしれませんね。