高齢者の方で今後、運転免許証を自主的に返納しようと考えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
免許返納後のデメリットや特典、返納率などが気になりますよね。
今回は家族介護の経験もある筆者が高齢者の方の免許返納について調べたので説明したいと思います。
高齢者免許返納のデメリットは?
高齢者の方が免許を自主返納することで考えられるデメリットは3つあります。
① 移動手段、移動範囲が制限される
車での移動に慣れていると、時間や本数が決まっているバスや電車は不便に感じるかもしれません。
行きたい場所によってはバスや電車よりもタクシーを利用した方がいいなど、その都度下調べも必要になってきます。
② 趣味や社会との繋がりが減る
車が好きであったり運転すること自体が趣味だった方には、免許返納は心苦しいものがありますよね。
行きたい場所に気軽に行けなくなったり、共通の趣味をもつ友達と出掛ける回数が減ってしまうことなども考えられます。
③ 家族の負担が増える
車がないと食料品や日用品をまとめ買いできなかったり、荷物を持って帰ってくることも大変ですよね。
ご家族にお願いして買い物を手伝ってもらう方法もありますが、ご家族が近くにいなかったり働いている方だと時間を作ることが難しい場合もあります。
筆者の家の場合は、夫の両親が80代で車を運転しないので週に1回ほど買い物を手伝っています。
なるべく事前に買い物に行きたい日を教えてもらったり、まとめ買いをしてもらうなどお互いに協力して工夫しています。
高齢者の方にとって慣れていた車がなくなると、日常生活が不便になります。
外出が億劫に感じ、閉じこもりがちになることが考えられますよね。
気力の低下をまねき、人によっては認知症やうつ病の発症の原因となる場合があるそうです。
免許証返納の特典や返納率について説明!
運転免許を自主返納した方の不安を少しでも解消しようと、生活をサポートするための特典や支援も増えてきています。
運転経歴証明書
免許を自主返納した方が交付の申請をすると、運転経歴証明書がもらえます。
平成24年から公的な身分証明書として使えるようになりました。
有効期限がないので申請すれば一生持っていることができます。
申請は運転免許センターや警察署で行うことができますが、免許返納から5年以上経過している方や違反などで免許取り消しになった方には交付されません。
免許返納の特典
交付された運転経歴証明書を提示することで特典やサポートを受けることができます。
☆自治体の特典
- バスや電車の割引や優待券
☆民間の特典
- タクシー運賃の割引
- 商店街の割引
- 温泉や銭湯の入浴料の割引
- ホテルの食事の割引
- スーパーの配送料の割引 など
ちなみに
筆者の住んでいる北海道札幌市の免許返納の特典を調べてみました。
一部タクシー会社を利用する際、運転経歴証明書提示を条件に、65歳以上の方は料金が10%割引になるとのことです。
もうひとつ免許返納の特典ではないのですが、札幌市から70歳以上の方にバスや地下鉄で使える敬老優待乗車証が交付されます。
札幌市は他の地域より免許返納の特典がまだまだ少ないように思います。
確かに札幌市中心部は公共交通機関が多く便利ではあります。
しかし、あまり免許返納の恩恵がないと返納するより「車を運転した方が楽だ」と考える人もいるかもしれません。
免許を返納した方にとって、運転経歴証明書を使って割引などになる機会が多い方が嬉しいですよね。
その他の北海道の地域では、運転経歴証明書交付にかかる費用負担やタクシー券の補助、バスの定期券や乗車券の交付などがあるようです。
その他のサポート
自主返納にかかわらず、高齢者の方が利用できる支援がいくつかあります。
- 病院の無料送迎バス
- 介護タクシー
- 配食サービス
- 移動販売
- スーパーの無料送迎バス
- 配達サービス など
一部介護タクシーなどでは要介護、要支援認定が必要となる場合もあります。
お住まいの地域の役所や地域包括支援センターで詳しく教えてもらえるのでご相談してみてはいかがでしょうか。
高齢者免許返納率
平成29年の運転免許統計を見てみると、75歳以上の方の免許返納率は4.7%でした。
75歳以上の方の免許保有者数→「5,395,312人」
そのうち返納件数→「253,937件」
運転経歴証明書を交付した件数→「213,152件」
返納率はまだまだ高いとは言えない状況です。
高齢者免許返納についてのまとめ
返納率⒋7%という数字は、免許を返納せずに車を運転することを選ぶ高齢者の方が多いということでもあります。
高齢者の方が安心して免許返納後の生活を送れるよう、サポートを充実させることが今後の返納率にも関わってくるのではないでしょうか。
自主返納の特典だけではなく、高齢者の方が利用できるサービスと合わせて活用できると返納後の生活も安心だと思います。
お住まいの地域の免許返納の特典やサポートを事前に確認することや、身体が元気なうちに車のない生活に慣れておくなど、返納後の生活をよくイメージしてから自主返納することをおすすめします。