家族からでも土地や家、一定以上のお金などの財産をもらうときには贈与税がかかるんです。

贈与税は財産をあげた人ともらう人との関係性、財産の評価額や金額によって、贈与税率が異なります。

特にお父さんやお母さんなど相続の対象となる人から贈与される場合、贈与税率とお父さんやお母さんが亡くなったときの相続税率とどちらが税金の負担が少なくなるか気になる人もいるかと思います。

私もその一人です。

今回は贈与税率の特例や一般の違い、贈与税率と相続税率との比較もしてみました。


 


贈与税率の早見表と控除額まとめ!特例と一般の違いは?

贈与税
 

国税庁の公式サイトによると贈与税率は2種類あります。

  • 特例贈与財産用(特例税率)
  • 一般贈与財産用(一般税率)

 

種類によって贈与税率が異なりますので、それぞれの詳細と早見表をお伝えしますね。

特例贈与財産用(特例税率)と一般贈与財産用(一般税率)については、国税庁の公式サイトを参考にしました。

国税庁の「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm)

特例贈与財産用(特例税率)の早見表

両親や祖父母から子供や孫に贈与するときに、特例贈与財産用(特例税率)が適用されます。
 

特例贈与財産用(特例税率)には2つの条件があります。

  • 贈与される人(財産をもらう人)が贈与される年の1月1日に20歳以上であること
  • 贈与する人(財産をあげる人)が直系尊属であること

※直系尊属(ちょっけいそんぞく)とは、直系の曽祖父母、祖父母、両親のことです。
 

特例贈与財産用(特例税率)は簡単に言うと「おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんから、20歳以上の子供や孫に贈与するときに、特別に贈与税を少し安くしてあげますよ」という感じです。
 

特例贈与財産用(特例税率)の早見表はこちら。

基礎控除後の課税価格 税率 / 控除額
200万円以下 10% / 0円
400万円以下 15% / 10万円
600万円以下 20% / 30万円
1,000万円以下 30% / 90万円
1,500万円以下 40% / 190万円
3,000万円以下 45% / 265万円
4,500万円以下 50% / 415万円
4,500万円超 55% / 640万円

 

「基礎控除後の課税価格」とは、財産の評価額や金額から基礎控除(110万円)を引いた金額です。

贈与税の基礎控除は一律110万円です。

お父さんの1,000万円を20歳以上の子供に贈与する場合を例として計算してみます。

1,000万円(財産)-110万円(基礎控除)=890万円(基礎控除後の課税価格)

890万円×30%(税率)=267万円

267万円-90万円(控除額)=177万円(贈与税)

 

このような計算方法になります。
 

次は特例贈与財産用(特例税率)が適用されない場合の一般贈与財産用(一般税率)の早見表をお伝えします。

一般贈与財産用(一般税率)の早見表

兄弟、夫婦、20歳未満の子供への贈与など、上記の特例贈与財産用(特例税率)に当てはまらない贈与は、すべて一般贈与財産用(一般税率)となります。
 

一般贈与財産用(一般税率)の早見表はこちら。

基礎控除後の課税価格 税率 / 控除額
200万円以下 10% / 0円
300万円以下 15% / 10万円
400万円以下 20% / 25万円
600万円以下 30% / 65万円
1,000万円以下 40% / 125万円
1,500万円以下 45% / 175万円
3,000万円以下 50% / 250万円
3,000万円超 55% / 400万円

 

特例贈与財産用(特例税率)と同じで、「基礎控除後の課税価格」とは、財産の評価額や金額から基礎控除(110万円)を引いた価格です。
 

お兄さんから弟へ1,000万円を贈与する場合を例として計算してみます。

1,000万円(財産)-110万円(基礎控除)=890万円(基礎控除後の課税価格)

890万円×40%(税率)=356万円

356万円-125万円(控除額)=231万円(贈与税)

 

特例贈与財産用(特例税率)と比較すると同じ1,000万円の贈与でも一般贈与財産用(一般税率)の方が、54万円も贈与税が高くなります。

財産が多くなればなるほど、贈与税の差が大きくなってしまいますね。
 

夫婦での贈与もこの一般贈与財産用(一般税率)に当てはまりますが、婚姻期間が20年以上の夫婦には特例があるんです。

自宅または家を買うためのお金の贈与に限り、基礎控除(110万円)にプラスして、最高2,000万円まで配偶者控除が受けられます。

夫婦間で特例があるのは嬉しいですね。
 

次は贈与税率と相続税率の比較をしてみたいと思います。

贈与税率と相続税率の比較!

親と子など相続が発生する関係の場合、「生前贈与した方が税金が安いか?遺産相続した方が税金が安いか?」ということが気になると思います。
 

そこで贈与税率と相続税率の比較表を作ってみました。

贈与税率は相続が発生する間柄なので、特例贈与財産用(特例税率)にしています。

金額 贈与税 相続税
税率 / 控除額 税率 / 控除額
200万円以下 10% / 0円 10% / 0円
400万円以下 15% / 10万円 10% / 0円
600万円以下 20% / 30万円 10% / 0円
1,000万円以下 30% / 90万円 10% / 0円
1,500万円以下 40% / 190万円 15% / 50万円
3,000万円以下 45% / 265万円 15% / 50万円
4,500万円以下 50% / 415万円 20% / 200万円
4,500万円超 55% / 640万円 20% / 200万円
5,000万円以下 55% / 640万円 20% / 200万円
1億円以下 55% / 640万円 30% / 700万円
2億円以下 55% / 640万円 40% / 1,700万円
3億円以下 55% / 640万円 45% / 2,700万円
6億円以下 55% / 640万円 50% / 4,200万円
6億円超 55% / 640万円 55% / 7,200万円

 
※「金額」の部分は、贈与税が「基礎控除後の課税価格」、相続税が「法定相続分に応ずる取得金額」となります。
 

贈与税と相続税を比較すると相続税の方が税率がかなり低く、控除額が多いのがわかりますね。

さらに贈与税の基礎控除は「110万円」ですが、相続税の基礎控除は「3,000万円+法定相続人×600万円」なので、税率だけではなく、基礎控除でも相続税の方が優れています。
 

お父さんの5,000万円の財産を子供に贈与した場合と相続した場合で計算してみました。
 

贈与税:特例贈与財産用(特例税率)で計算

5,000万円(財産)-110万円(基礎控除)=4,890万円(基礎控除後の課税価格)

4,890万円×55%(税率)=2,689万5,000円

2,689万5,000円-640万円(控除額)=2,049万5,000円(贈与税)

 

相続税:兄弟(法定相続人)が2人で計算

5,000万円(財産)-3,000万円(基礎控除)-1,200万円(法定相続人×2)=800万円(法定相続分に応ずる取得金額)

800万円×10%(税率)=80万円(相続税)

 

同じ5,000万円でも生前贈与と遺産相続では、こんなにも違いがあるんです。
 

「贈与税は相続税逃れができない税金」と言われていますので、これだけの差が出てしまうんですね。
 
 

今回は贈与税率の早見表や贈与税率と相続税率の比較をしてみました。
 

贈与税には2つの種類があります。

  • 特例贈与財産用(特例税率):両親や祖父母から子供や孫(20歳以上)への贈与
  • 一般贈与財産用(一般税率):特例贈与財産用(特例税率)以外の贈与

 

贈与税と相続税を比較してみると圧倒的に贈与税の方が高くなりますね。
 

贈与や相続で迷ったら、早見表を参考にしてくださいね。