クリスマス島のカニは食べることができる?非食用アカガニの大移動を紹介

クリスマス島のカニは食べることができる?非食用アカガニの大移動を紹介 クリスマス

クリスマス島。ロマンチックな名前の島ですよね?

島の人口は1,692人(2021年オーストラリア国勢調査)。
そこに暮らすアカガニは1億匹以上です。
出典:オーストラリア統計局 2021年国勢調査「Christmas Island」/クリスマス島国立公園(オーストラリア政府)「Red crab」

カニざんまい!!と言いたいところですが、このカニを食べることはできません。
クリスマス島では陸ガニがすべて保護されていて、殺すことも、野生生物に手を出すことも違法とされているからです。
食べるために捕まえること自体が認められていません。
出典:Christmas Island Tourism Association「Nature & Wildlife」

食べられることのないまま、カニはどんどん増えていきました。

そう、クリスマス島はカニであふれる南の島だったのです!


 


クリスマス島でアカガニは大行進する。

クリスマス島で大量発生するカニの名前はクリスマスアカガニ。

クリスマスアカガニとは(基本データ)

  • 学名:Gecarcoidea natalis(ゲカルコイデア・ナタリス)
  • 数:クリスマス島だけで1億匹以上
  • 食べ物:落ち葉・果実・花・芽生えが中心。ほかのカニの死がいや鳥、外来種のアフリカマイマイも食べる
  • 暮らし:ふだんは湿った熱帯雨林の巣穴や岩のすき間にいる。乾燥に弱く、乾季は巣穴の入口を落ち葉でふさいで、ほとんど外へ出てこない

出典:クリスマス島国立公園「Red crab」

体長は最大で12センチほどになります(出典:オーストラリア博物館「Red Land Crab」)。

クリスマス島とココス島にしか棲んでいない固有種です。
ココス(キーリング)諸島側については、オーストラリア政府のプル・キーリング国立公園が「クリスマスアカガニ(Gecarcoidea natalis)は島の林床でよく見られる」と説明しています。
出典:プル・キーリング国立公園(オーストラリア政府)「Crabs」

ふだんは島の熱帯雨林の木の根元などに穴をほって棲んでおり、落ち葉や果物や動物の死体を食べています。

そのクリスマスアカガニが大発生しています。

 

アカガニの数は、ここ数十年で大きく揺れ動いてきました。
1990年代の終わりごろから、外来種のキイロアシナガキアリが数千万匹の陸ガニを殺してきました。
このアリは強い蟻酸を吹きかけて身を守り、1平方メートルあたり1,000匹という密度になると、その場所のアカガニを全滅させてしまうためです。
出典:クリスマス島国立公園「Yellow crazy ant biocontrol」

その後、アリのスーパーコロニーの抑え込みが進み、アカガニは回復しました。
2024年1月に同公園が出した発表では、直近5年で5,000万匹から1億匹超へと倍以上に増えています。

大移動はいつ見られる?

大移動が始まるのは、雨季の最初の雨が降ったときです。
ふつうは10月か11月ですが、遅い年は12月から1月にずれこみます。
森から出てきたカニたちは何日もかけて島を横断し、産卵のために海へ向かいます。
産卵の日取りを決めるのは月の満ち欠けで、下弦の月のころ、夜明け前に満ち潮が引きに転じるタイミングで卵を放ちます。

雨が遅すぎて産卵の日に間に合わない年は、一部のカニは巣穴にとどまり、翌月に移動します。
産卵は大移動のあいだに5〜6夜続けて行われることもあります。
メス1匹が抱える卵は最大で10万個です。
出典:クリスマス島国立公園「Red crab migration」

オーストラリア政府観光局は、大行進の見ごろを「11月中旬~12月中旬」と案内しています。
この時期に海へ潜ると、卵からかえったアカガニの幼生を食べに来るジンベエザメに出会えるかもしれない、とも紹介されています。
出典:オーストラリア政府観光局「クリスマス島旅行ガイド」

ただし、大移動の始まりはその年の最初の雨で決まります。
見に行くなら、その年の動きを国立公園のお知らせで確かめてから予定を組むと安心です。

国立公園によると、大移動や産卵が見やすい場所は、ドラムサイト(Drumsite)、フライングフィッシュ・コーブ(Flying Fish Cove)、エセル・ビーチ(Ethel Beach)、グレタ・ビーチ(Greta Beach)です。
大移動のピークには道路の一部が急に通行止めになることがあり、島の掲示板や地元のラジオでカニの動きが知らされます。

▶ 動画で確認:クリスマスアカガニの大移動

森から海へ向かうアカガニの大移動の様子です。

出典:Parks Australia(オーストラリア国立公園局)公式YouTube

 
ゴルフ場でも大行進。ゴルフのプレイどころではありません。

 

学校の教室内だっておかまいなし。

 

線路の上も大行進していきます。

 

壁だってへいちゃらです。

 

住民たちは慣れっこなので慌てたりはしません。

 
 

クリスマスアカガニはやがて波打ち際に到着し、浜辺や岩場を覆いつくします。

 

海岸ではオスが巣穴をほってメスを待ちます。
メスが来るとオスはメスに巣穴を譲って再び森へ。

メスはそこで卵を生みます。
卵が熟成した2週間ほど後に海に入って産卵したメスも再び森に帰ります。
赤ちゃんアカガニの大群

 

大量の卵は3週間後くらいに子ガニになり、子ガニたちは集団で森へ大行進。
指にのっているアカガニの赤ちゃん
手のひらにアカガニの赤ちゃんの大群

アカガニと暮らすクリスマス島の人たちの生活は?食べる?

すごい数のクリスマスアカガニですが島の人は慣れっこです。

ただ、大移動の時期になると車がカニを踏んでスリップしたり、道路がカニの死骸で汚くなったりしますから、区間によっては車両通行止めになる道もあります。

 

カニたちが道路へ出ないようにカニのバイパスを作るところもあります。

 

カニ専用の歩道橋を設置している場所もあります。

 

このようにクリスマスアカガニが道路に出ないように住民たちはいろいろ考えているんですね。
どれくらい轢かれずに済むようになったかを示す公表値は見つけられませんでした。
ただ、クリスマス島国立公園は2021年12月の発表で、森から海岸へ向かう何百万匹ものカニを守るため、スタッフが何キロもの仮設の柵を立て、標識を出し、島じゅうの道路を閉鎖している、と説明しています。
出典:クリスマス島国立公園「Millions of crabs march on Christmas Island」(2021年12月2日)

道路の上には、カニ専用の陸橋(crab bridges)も架けられています。

 

こんなに大量発生しているクリスマスアカガニ。

このカニが食卓に上がることはありません。
島の観光協会は「クリスマス島の陸ガニはすべて保護されています(All land crabs on Christmas Island are protected)」「無謀に、あるいは故意にカニを殺したり、野生生物に干渉したりすることは違法です(It is an offence to recklessly or deliberately kill crabs or interfere with wildlife)」と案内しています。
食べるために捕まえること自体が認められていない、ということです。
出典:Christmas Island Tourism Association「Nature & Wildlife」

罰金の額として「最高5,000ドル」という数字がインターネット上で見かけられますが、オーストラリア政府や島の公式ページで確認することはできませんでした。
そのためこの記事では金額を書きません。

肝心の味についても、公的な記録は見つけられませんでした。
「まずい」という説明の出どころははっきりしないので、この記事では味を断定しません。

クリスマスアカガニは落ちているものはなんでも食べてくれるので、害虫なども発生しにくいという良い点もあります。

 

クリスマス島の住民たちはアカガニとうまく共存しているんですね。

クリスマス島ってどこ?どんなところ?

クリスマス島は冬場も雪とは無縁の南の島。

1643年、イギリス東インド会社のウィリアム・マイノース船長がクリスマスの日にこの島を見つけ、そこから名前が付きました。
このときは上陸できず、記録に残る最初の上陸は1688年、イギリス船シグネット号によるものです。
出典:クリスマス島国立公園「History」

場所はインド洋で、オーストラリア本土から西へ約1,500km、パースからは約2,600km離れています。
オーストラリア領ですが、いちばん近い隣国はインドネシアで、北へ約350km。ジャカルタからは約500kmです。
出典:クリスマス島国立公園「Where is Christmas Island?」

オーストラリア領の小さな島クリスマス島。

「クリスマス島」は世界に2つあります。

1つはキリバス共和国のクリスマス島。タコや大型のシャコを釣ることができ、ダイビングスポットがあるので海のレジャーで有名な島です。

もう1つがオーストラリア領のクリスマス島。この島がクリスマスアカガニの大移動が見られる島なんですよ。

 
 

日本に占領されたこともあるこの島の産業はリン鉱の加工と出荷でしたが、近年はクリスマスアカガニの大行進が島の見どころになりました。
国立公園は、車を停めて、動くカニの海のなかを気をつけて歩くことができると案内しています(原文は「you can park your car and carefully walk among the sea of moving crabs」)。
出典:クリスマス島国立公園「Red crab migration」

実際に大量のアカガニが移動している様子を見たら興奮するでしょうね!

クリスマス島への行き方(パースから空路)

オーストラリア政府観光局の案内では、クリスマス島へは西オーストラリア州のパースから飛行機で向かいます。

  • パースからの直行便で約4時間
  • ココス(キーリング)諸島を経由する便もあり、ココスからクリスマス島までは95分
  • クリスマス島空港は、島でただ一つの市街地から約5km。空港でレンタカー・シャトル・タクシーが使える

島の一年は、雨季(10月~4月)と乾季(5月~9月)に分かれます。
混み合う時期(繁忙期)は11月~2月です。
出典:オーストラリア政府観光局「クリスマス島旅行ガイド」

クリスマス島国立公園は、オーストラリアのほかインドネシアやマレーシアからも空路で行けると案内しています。
便の有無や運航日は時期によって変わるので、予約の前に航空会社の最新の情報を確かめてください。

この記事で確認した日と出典

この記事の数値と決まりごとは、次の公式ページで確認しました(2026年9月8日。基本データ・大移動の時期・場所・行き方は2026年10月24日に追加で確認)。



 


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