クリスマス島。ロマンチックな名前の島ですよね?
その島の写真です。

サンタクロースが蟹の岩場で手を振る

島の人口は1,692人(2021年オーストラリア国勢調査)。
そこに暮らすアカガニは1億匹以上です。
出典:オーストラリア統計局 2021年国勢調査「Christmas Island」クリスマス島国立公園(オーストラリア政府)「Red crab」(2026年9月8日確認)

カニざんまい!!と言いたいところですが、このカニを食べることはできません。
クリスマス島では陸ガニがすべて保護されていて、殺すことも、野生生物に手を出すことも違法とされているからです。
食べるために捕まえること自体が認められていません。
出典:Christmas Island Tourism Association「Nature & Wildlife」

食べられることのないまま、カニはどんどん増えていきました。

そう、クリスマス島はカニであふれる南の島だったのです!


 


クリスマス島でアカガニは大行進する。

クリスマス島で大量発生するカニの名前はクリスマスアカガニ。

体長は最大で12センチほどになります(出典:オーストラリア博物館「Red Land Crab」)。

クリスマス島とココス島にしか棲んでいない固有種です。
ココス(キーリング)諸島側については、オーストラリア政府のプル・キーリング国立公園が「クリスマスアカガニ(Gecarcoidea natalis)は島の林床でよく見られる」と説明しています。
出典:プル・キーリング国立公園(オーストラリア政府)「Crabs」

ふだんは島の熱帯雨林の木の根元などに穴をほって棲んでおり、落ち葉や果物や動物の死体を食べています。

そのクリスマスアカガニが大発生しています。

道路にアカガニの大群

 

アカガニの数は、ここ数十年で大きく揺れ動いてきました。
1990年代の終わりごろから、外来種のキイロアシナガキアリが数千万匹の陸ガニを殺してきました。
このアリは強い蟻酸を吹きかけて身を守り、1平方メートルあたり1,000匹という密度になると、その場所のアカガニを全滅させてしまうためです。
出典:クリスマス島国立公園「Yellow crazy ant biocontrol」

その後、アリのスーパーコロニーの抑え込みが進み、アカガニは回復しました。
2024年1月に同公園が出した発表では、直近5年で5,000万匹から1億匹超へと倍以上に増えています。
出典:クリスマス島国立公園「Christmas cheer as the red crabs march on」(2024年1月5日)

波打ち際の岩場の大量のアカガニ
 

大移動が始まるのは、雨季の最初の雨が降ったときです。
ふつうは10月か11月ですが、遅い年は12月から1月にずれこみます。
森から出てきたカニたちは何日もかけて島を横断し、産卵のために海へ向かいます。
産卵の日取りを決めるのは月の満ち欠けで、下弦の月のころ、夜明け前に満ち潮が引きに転じるタイミングで卵を放ちます。
出典:クリスマス島国立公園「Red crab migration」

道路にアカガニの大群と女性が座っている

 
ゴルフ場でも大行進。ゴルフのプレイどころではありません。
ゴルフ場にアカガニの群れ

 

学校の教室内だっておかまいなし。
教室に入ろうとするアカガニ

体育館にアカガニが入ってきた
 

線路の上も大行進していきます。

列車が来る線路上にアカガニの大群
 

壁だってへいちゃらです。
石垣に大量のアカガニ

 

住民たちは慣れっこなので慌てたりはしません。
靴の近くにアカガニがいる

 
 

クリスマスアカガニはやがて波打ち際に到着し、浜辺や岩場を覆いつくします。

 

海岸ではオスが巣穴をほってメスを待ちます。
メスが来るとオスはメスに巣穴を譲って再び森へ。

メスはそこで卵を生みます。
卵が熟成した2週間ほど後に海に入って産卵したメスも再び森に帰ります。
赤ちゃんアカガニの大群

 

大量の卵は3週間後くらいに子ガニになり、子ガニたちは集団で森へ大行進。
指にのっているアカガニの赤ちゃん
手のひらにアカガニの赤ちゃんの大群

アカガニと暮らすクリスマス島の人たちの生活は?食べる?

すごい数のクリスマスアカガニですが島の人は慣れっこです。

ただ、大移動の時期になると車がカニを踏んでスリップしたり、道路がカニの死骸で汚くなったりしますから、区間によっては車両通行止めになる道もあります。

車両通行止めの柵とアカガニが道路にいる
 

カニたちが道路へ出ないようにカニのバイパスを作るところもあります。
アカガニの大群

 

カニ専用の歩道橋を設置していある場所もあります。
アカガニ用の橋

 

このようにクリスマスアカガニが道路に出ないように住民たちはいろいろ考えているんですね。
どれくらい轢かれずに済むようになったかを示す公表値は見つけられませんでした。
ただ、クリスマス島国立公園は2021年12月の発表で、森から海岸へ向かう何百万匹ものカニを守るため、スタッフが何キロもの仮設の柵を立て、標識を出し、島じゅうの道路を閉鎖している、と説明しています。
出典:クリスマス島国立公園「Millions of crabs march on Christmas Island」(2021年12月2日)

道路の上には、カニ専用の陸橋(crab bridges)も架けられています。
出典:クリスマス島国立公園「Red crab migration」
太陽を背に道路を歩くアカガニ

 

こんなに大量発生しているクリスマスアカガニ。

このカニが食卓に上がることはありません。
島の観光協会は「クリスマス島の陸ガニはすべて保護されています(All land crabs on Christmas Island are protected)」「無謀に、あるいは故意にカニを殺したり、野生生物に干渉したりすることは違法です(It is an offence to recklessly or deliberately kill crabs or interfere with wildlife)」と案内しています。
食べるために捕まえること自体が認められていない、ということです。
出典:Christmas Island Tourism Association「Nature & Wildlife」

罰金の額として「最高5,000ドル」という数字がインターネット上で見かけられますが、オーストラリア政府や島の公式ページで確認することはできませんでした。
そのためこの記事では金額を書きません。

肝心の味についても、公的な記録は見つけられませんでした。
「まずい」という説明の出どころははっきりしないので、この記事では味を断定しません。

クリスマスアカガニは落ちているものはなんでも食べてくれるので、害虫なども発生しにくいという良い点もあります。
海岸に大量のアカガニ

 

クリスマス島の住民たちはアカガニとうまく共存しているんですね。

クリスマス島ってどこ?どんなところ?

クリスマス島は冬場も雪とは無縁の南の島。

1643年、イギリス東インド会社のウィリアム・マイノース船長がクリスマスの日にこの島を見つけ、そこから名前が付きました。
このときは上陸できず、記録に残る最初の上陸は1688年、イギリス船シグネット号によるものです。
出典:クリスマス島国立公園「History」

場所はここ。


 

オーストラリア領の小さな島クリスマス島。

「クリスマス島」は世界に2つあります。

1つはキリバス共和国のクリスマス島。タコや大型のシャコを釣ることができ、ダイビングスポットがあるので海のレジャーで有名な島です。

もう1つがオーストラリア領のクリスマス島。この島がクリスマスアカガニの大移動が見られる島なんですよ。
夕暮れの海岸にアカガニが岩に大量にいる

 
 

日本に占領されたこともあるこの島の産業はリン鉱の加工と出荷でしたが、近年はクリスマスアカガニの大行進が島の見どころになりました。
国立公園は、車を停めて、動くカニの海のなかを気をつけて歩くことができると案内しています(原文は「you can park your car and carefully walk among the sea of moving crabs」)。
出典:クリスマス島国立公園「Red crab migration」

実際に大量のアカガニが移動している様子を見たら興奮するでしょうね!

この記事で確認した日と出典

この記事の数値と決まりごとは、2026年9月8日に次の公式ページで確認しました。